プリーストリー氏の問題-晶文社
-妹に-
舞 台-オクスフォードシャー ダフリー村
テムズ川河畔のコテージ 4月上旬
発 表-1927年 79年前
A.B.コックス-34歳

<あらすじ>
食事の後、犯罪者の心理について討論し続け 自分を仲間はずれにする知人達に、「そんなにその男の行動が知りたいなら、殺人を仕組んで調べてみたらいいじゃないか。」とジョージは大声で叫ぶ。
この提案はあっさり受け入れられ、ボーっとした友人マシュー・プリーストリー氏が実験対象に決定。
ジョージの妹ローラがプリーストリー氏を犯行現場まで誘導、素人芝居が順調に進行中、空砲を聞きつけ本物の警官が登場し、ローラとプリーストリー氏に手錠をかけてしまう。2人は手錠のまま逃亡、本件は、謎の皇太子殺人事件として新聞紙上を騒がせることになり・・・
☆☆☆
この作品は、"ミステリ風ユーモア小説"だそうで、架空の殺人事件は出てくるものの、トリックや犯人を推理するものではない。が、テンポがよく、とても楽しめる小説だった。
狂言の首謀者 ガイ・ネズビットとパット・ドイル そしてローラの姉ドーラの度を過ぎたふざけブリ、ガイの妻シンシアの出来過ぎブリ、マトモな登場人物は、ジョージとプリーストリー氏のみ。
手錠をはめられたローラとプリーストリー氏の逃避行は、とてもワクワクした。小説でこんな風に感じるのは久しぶりだ。
007と美女の「ツーといえばカー」と真逆で、さえない中年小男とはねっ返り娘がどう一晩過ごすのか、読み進めていくのがとても楽しみだった。
皆から虐げられている地味キャラ ジョージの描き方もいい味出してるし、
逃避行中の2人 と
殺人現場?で警察を翻弄しようとするガイ&パット
の2シーン同時進行で、まったく飽きさせない。
推理小説じゃないのに、バークリーにこんなに楽しませてもらえるとは思わなかった。意外な喜び♪
実験対象のプリーストリー氏にとっては"とんでもない"設定であったが、善良で教養もあるが無欲で見栄えのしない男は、こんなことでもなければ美女に自分の内面のよさをイヤというほど分からせることが出来ないわよね。
ま、良かったね。(*^-^)b
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一つ気になったのは、フリーライターのパットが 目先の金銭のために、この架空の殺人事件の記事で新聞社から一儲けしたこと。当然ブラックリストに載っちゃうんだけど。
そんな、将来的に傷になる様な頭の悪いことするかなぁ。
ありえないことだらけで面白いんだけど、この手のありえなさは 自分的には受け入れにくい。
みんな、ハッピーエンドにしなくてもいいと思うけどな。
あと、シンシアは出来過ぎ。こんな23歳がいたらお目にかかりたいよ。
この作品は、妹さんに捧げられているようですが、
外見に惑わされず、プリーストリー氏のようないい男を捜せ!ってことなんでしょうか?
<ジョージの妹ドーラとローラについての説明>
『ミス・ハワードのどちらか一方でも目にしたら、男らしく胸をふくらませて、男らしく自らを励まし、男らしい口調でこうつぶやくだろう。「ここに、僕のことを神様でも見るような目で見ているいたいけな女性がいる。そうじゃないと言えるか?たぶん僕は神なんだ。このか弱くて可愛い女性にあんなふうに見つめられたら、自分が神だと考えないわけにはいかないじゃないか。槍と鎧を持ってこい!ドラゴンはいないか?ドラゴンがいないならネズミでもいい。とにかく、このお麗しい内気な娘を何かから保護するのは明らかにぼくの務めだ。しかも直ちに」
そして20分後、彼が内気な娘の興味を惹きつけた時になって、娘の言葉は額面通り受け取っていいものだろうか、まったく異なる内容を伝えようとするもので、ひょっとしたら男の自尊心という大きな風船に針を刺すものではないのかと疑いながら後悔することになるのだ。彼が娘の興味を充分惹きつけなかった時には、この辛辣な氷の塊のような女性が、自分自身の面倒はもちろん、世事万般をこなすことはできないなどと、どうして想像したのかと考えて、さらに内心忸怩たる思いに駆られただろう。ハワード姉妹は精一杯上品に言って、"刺激的"と称されるような女性達だった。』P-27
笑っちゃうね。
<一番良かったシーン>
プリーストリー氏がローラの手に100ポンドの札束を押し込んで、
「きれいな物をたくさん買っておいで。」
いいひとだ。
☆☆☆
晶文社ミステリ 2005年1月15日二刷
訳:小林 晋