完璧なアリバイ-HMM
舞 台-田舎 6月
探 偵-ロジャー・シェリンガム
発 表-BBC発行「ラジオ・タイムズ」1930年8月号
アントニイ・バークリー-37歳

<あらすじ>
田舎の警察長に就任した友人サー・ウィルフレッドに、ロジャーは殺人事件の話をせがむ。サー・ウィルフレッドは田舎に君が興味を惹くような話はないというが、ロジャーのしつこさに根負けして 若干の疑惑を感じていたオールフリ家の事故について話し始める。
地元の名家オールフリ家に滞在していた有名なプレーボーイ エリック・スコット=デイヴィスが、林間の空き地で後頭部を吹き飛ばされた遺体で発見された。
当時屋敷にいた家族・滞在客には、全員スコット=デイヴィス殺害動機があったが、犯行時間の15:17には全員にアリバイがあった。
第一発見者であり、滞在客のアリバイをたまたま証明することになった警官に話を聞きたいと、ロジャーは申し入れるが、彼は事件後すぐに亡くなっていたのだった。
☆☆☆
『第二の銃声』と全く同じ設定の事件。
それを、ロジャーのオックスフォード時代の学友の警察長が思い出話として語り、Armchair Detectiveのロジャー先生がその場で解決する話。
おそらく、ロ先生の最短記録なのでは?
短編だが、友人を困らせる会話にロジャーらしさがいっぱい出ているし、大変鮮やかに解決している。(第二の銃声とは違う犯人)
ハヤカワポケットミステリ「名探偵登場Ⅲ」には、『瓶ちがい』じゃなくて、本書の方を載せてほしかったなぁぁ。
初版当時、まだ本作品が発見されていなかったのかな。
本書と『第二の銃声』は、どちらの執筆が先なのだろうか?
私は『第二の銃声』を先に読んだが、『第二の銃声』を先に読んで→本書 が、より楽しめると思う。
この設定の特徴の1つは"全員に動機がある"ことで、長編『第二の銃声』では、各自の特徴あるキャラクターや殺したくなる理由が充分描かれているし、そこが読みどころでもある。
短編では、6人もいるキャラの人となりと動機に、サラッとふれる事しか出来ない。『第二の銃声』を先に読んでいれば、その2~3行の文章からもっと多くのイメージをわかせることが出来るので、より楽しめるのでは。
ま、ナンと言っても「名探偵ロジャー・シェリンガム復活!」の爽快感が味わえることでしょうか。
第二の銃声 : 完璧なアリバイ≒三振 : 満塁ホームラン♪
ロジャーにいじめられっぱなしのサー・ウィルフレッドのセリフ。
『「さあて、ロジャー、最近の君は推理の達人と目されてるそうだね」サー・ウィルフレッドは無礼な笑い方をした。』P-140
☆☆☆
早川書房 『ミステリマガジン』No.444 1993年4月号
"名作短編発掘"コーナーP-131~141掲載
訳:大村美根子
「アントニイ・バークリーの作品世界 性格のパズル」トニイ・メダウォー著:佐藤定夫訳も収録