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ピカデリーの殺人-創元推理文庫

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The Piccadilly Murder[英国版の表紙]

舞  台-ピカデリー・パレスのラウンジ 6月12日~7月
探  偵-アンブローズ・チタウィック(43~44歳位)
助  手-マウス閣下
発  表-1929年 77年前
アントニイ・バークリー-36歳

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<あらすじ>
ピカデリー・パレス・ホテルのラウンジでお茶をしながら、いつものように人間観察をしていたチタウィック氏は、上品な老婦人の連れの赤毛の男が、老婦人のコーヒー茶碗の上に手をかざすのを目撃する。
チタウィック氏が間違い電話に呼ばれて戻ってみると、老婦人は砒素を飲んで死亡していた。
赤毛の男=シンクレア少佐は、死亡した資産家の老婦人の甥で、唯一の相続人だった。
チタウィック氏の目撃証言で少佐は逮捕されるが、少佐の妻と友人の懇願により、チタウィック氏はなんと弁護側の探偵として活動を始める・・・

 ☆☆☆

今回の探偵助手は、当意即妙で元気で気持ちのいい青年マウス君。
その上マウス君は『公爵閣下』であらせられ、ヤードの副総監とも知り合いで、秘密裏に処理された毒入りチョコレート事件でのチタウィック氏の活躍を知っており、調査を依頼してきたような次第。

チタウィック氏は、ロジャー・シェリンガムと対照的に大変奥ゆかしい人物-ハッキリ言うと、おどおどした冴えないオッサンとして書かれている。
だいたい、検察側の超有力証人が弁護側の探偵になるなんて、周囲の押しの強さに押されっぱなしです。
毒入りチョコレートでは、確か「頭の良い羊のような顔をした~」と書かれていたと思うが、本作では もう すごい書かれよう!

誰も見向きもしないようなごくありふれた黒い小猫が~P-50
・そして自分がチタウィック氏のことを足もとの地虫程度にしか思っていないのを~P-115
・氏がもしもだったら、なついてでなく(断じてそうではない)完全な服従のしるしとして、卑屈に仰向けになって、相手の足もとに腹をさらしていたことだろう。P-124
・どうやらモーズビーは今ではチタウィック氏のことを単に芸をするペットというだけでなく、とびきり愉快な芸当を演じるペットとしてみなしているらしかった。P-256

ああ、あの人格者のモーズビー警部まで・・・
誰からも、人扱いされてません。
ソンケーしてくれてるのはマウス閣下くらいでしょうか(泣)

というわけで、主人公目線で本書を読むと、いっつも小バカにされていてあまり良い気分ではない。
しかし、特にムカついて嫌だった人が犯人だったので、大変スッキリした。
ざまーみろ(チタウィックか、自分・・・)

嫌いではあるけれど、今まで読んだバークリー作品の犯人の中で一番魅力的
犯人自身や周囲の状況についてとてもよく書き込まれているため、なぜこんな犯罪を犯したかだけでなく、なぜこんな人間になったかまでも理解できそうに感じる。「憎々しくて嫌いっ!」と思ってしまうほど、リアルに描かれているってことでしょうか。
↑これは、バークリーが目指していたことですよね!
本書末尾の解説文に、本書は、傑作の「毒チョコ」と「第二の銃声」に挟まれて冗長気味~と書かれているが、読んでいる時はそう思うんだけど、犯人が分かってみると 必要な運びだったと実感する。
決して冗長ではないと私は思う。
「第二の銃声」より、私はピカデリーのほうが好き。
あの人が犯人だと分かった上で、再度 犯人の心の動きを楽しみながら読んでみたいと思わせる作品だ。

登場人物にも作者にもボロカス言われているチタウィック氏ですが、ロジャーと違って 毒チョコに続き2連勝!
凄いです。

 ☆☆☆

Ambrose Chitterwick

東京創元社 2003年9月12日 3版
訳:真野 明裕

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