本陣殺人事件-TV 毎日放送
<ネタバレあります>
TV放映=昭和52年5月 27年前
金田一 =33歳
古谷一行=33歳
一柳賢蔵 =佐藤 慶
一柳三郎 =荻島真一
一柳糸子 =淡島千景
脚 本 =安倍徹郎
監 督 =蔵原惟繕
毎日放送の「横溝正史シリーズ」のDVDを一番所持しているのに、このブログでまだ一度も触れていなかったとはっ。
佐藤慶さんの一柳賢蔵は、田村さんと張るほどいい感じなのだが、ATG映画のところで書いた"賢蔵が雪を見てハッとするシーン"が残念乍ら無いのだっっ!
床杯を交わす為に、離れに一行が行く時
すでに 雪降っちゃってるのさ!
雪が降る中、花婿が花嫁さんに傘をさして離れへ向かうシーンは、”絵”としてはとても綺麗なのだが…
この作品の主役は、荻島真一さんの三郎だ。(ワタシ説)
原作では不肖の息子なのだが、京大に通うエリートに変わっている。
上品でエリートぶった いや~な感じ、金田一に探偵小説の知識をひけらかす嫌みったらしい感じ、マザコンの甘ったれで 強い兄さんには頭が上がらない情けないトコロ…
もう、ナーイスです。あなたの為の役ですこれは。(褒めてます)
毎日放送の「横溝正史シリーズ」は、映画に負けないほど素晴らしい出来の作品がいくつかあるが、この本陣殺人事件もその内の一つだ。
私的には、肝心な賢蔵のハッとシーンが無いにもかかわらず、そう思うのだから、本当に大したモノだ。
何が素晴らしいって、脚本だ。
原作のある物を映像化する際、改悪になってしまうことも多いが、この脚本は 本当に良く補ってくれました-という感じだ。
賢蔵と三郎の母・糸子と義弟の不倫関係が描かれるが、これは原作には無い。
また、糸子も"ご隠居"ではなく"美貌の未亡人"。
選民意識が高く潔癖な兄弟は、美しい母を自慢に思いながらも
最も軽蔑する人種-無教養で野卑な叔父に身をまかせる母を憎んでもいる。
そして三郎は、兄が新妻克子も殺す事を知りながら、計画に協力する。原作では、知らなかったことになっているのに。
兄の気持ちが分るからだ。
賢蔵の動機は、『克子が処女でなかった』ことが第一だが、これを金田一が口で説明するだけでは、久保銀造の「なぜ破談にしてくれなかったんだ。殺すことはないのに!」に、皆うなずいてしまう。
しかし、この作品では 『大切にしていた美しいモノが、軽蔑すべきものに汚された』ことへの憎悪と、それでもまだ美しい物への思慕を捨てきれない苦しさが、全編通して描かれているのだ。
瀕死の重傷を負いながら、美しく琴を奏でる母の元へ這って行こうとする三郎の惨めな姿を見ると、そういうことを賢蔵は潔しとしなかったのだと、殺人の動機が身に迫ってくるのだ。
何度でも見たいDVDです
☆☆☆
古谷一行さん1944年1月2日生まれ